膀胱切除術(その6)

回腸切除術

 切除された長さにしたがって、回腸切除術の結果は最も容易に分類されます。正常な末端回腸及び回盲弁の下に、最高60cmの回腸は深刻な吸収不全という結果を引き起こさずに切除されるかもしれません。私たちは、全部で60cmを越えた回腸の切除を推薦しません。60〜100cmの切除は、正常な毎日の量の胆汁酸の欠乏を結果として生じています。

 肝臓代償作用は、脂質消化不良を防止します。大腸における胆汁酸の通痢作用は、下痢を起こすかもしれません。これは、胆汁酸を結合する陰イオン交換樹脂によって治療されるかもしれません。しかし、それらが大幅にほかの薬の吸収を妨げるので、これらの樹脂は一般に短期間の治療のためにだけ使われます。

 60cm以上の回腸切除を経験した患者に変化した脂質代謝があることが、報告されています(2)。血清コレステロールはトリグリセリド(中性脂肪)に対応した上昇によって切除された回腸の長さとの線上の比率に応じて低下します(2)。回腸切除の結果として変化した脂質代謝のいかなる長期の影響は、知られていません。

 100cmを超える回腸切除術は、レザボア(代用膀胱)造設単独のために必要であるべきでありません。事前の切除を含む最終的な切除の長さが合計100cm以上になるならば、回腸の貯尿袋による禁制尿路変更術は避けられるべきです。さもなければ、脂質消化不良は、正常な末端回腸と回盲弁があったとしても発生するでしょう。これは、肝臓における胆汁酸の生産が、切り取った率に付いて行くことができないためであり、結果的に脂肪便の下痢の主な原因となります(3)。耐えられる切除の長さは患者個々人によって変わるので、ここで説明した回腸の長さは、絶対的なものというよりも指針であると考えられるべきです。

 回腸切除術の後に続いて起こる脂質消化不良は、また理論的な腎臓結石発生の増加を結果として生じます。吸収されない脂肪がカルシウムを結合するので、少ないカルシウムは腸管腔において可溶性シュウ酸カルシウムを十分に形成できなくなります。多くの可溶性シュウ酸塩が生産され、結腸に吸収されます。経口のクエン酸カルシウムは、シュウ酸塩と結合させるために与えられるかもしれません。切除と直接関連しなかったほかの脱水、高カルシウム血症、低クエン酸尿症及び坑硫酸塩尿症のような要因は、また、結石のリスクを増大させるかもしれません。

 私たちは、この場所が特にビタミンB12と胆汁酸の吸収のために重要なので、可能ならば、回腸端末の切除は避けられるべきであると信じます。ビタミンB12の深刻な欠乏レベルは、回腸末梢部の24から36cmまで及び結腸の12cm上の部分を使用する手技のマインツパウチ(回盲部代用膀胱)術の4年後に報告されています(4)。

 もし、末端回腸が切除されるならば、ビタミンB12欠乏症(末梢神経障害、視神経萎縮、認知症及び脊髄変性を含みます。)の神経後遺症が不可逆的であるかもしれないことから、終身の追跡調査が求められます。

 小腸切除とともに行う盲弁膜切除は、小腸切除だけに比べて下痢及び吸収不全合併症の深刻な増加を結果として生じています。回盲弁膜は、小腸の通過時間を増大させて、回腸の中のバクテリアの増殖による結腸内容物の逆流を防止する役割があります。したがって、私たちは、可能である場合は、回盲弁膜を温存することを推薦します。

 高塩素血症アシドーシス(酸毒症)

 結腸のレザボア(代用膀胱)(この論文の下を御覧ください。)で一般的に見られる高塩素血症アシドーシス(酸毒症)は、回腸のレザボア(代用膀胱)と関連してまた存在するかもしれません。適度な代謝性アシドーシス(酸毒症)は、回腸導管のある患者の最大で15%に起こっています。これらのうち最大で10%は、治療が必要です(6)。回腸の禁制尿路変更術を受けた患者の最高50%における増大した接触時間は、代謝の合併症につながるかもしれません(7)。このリスクは、レザボア(代用膀胱)の表面面積を増大させることによって増加します。したがって、貯尿容量と予想されている代謝の合併症の深刻さの間で均衡がとられなければなりません。私たちは、約60cmの回腸から造設されたレザボア(代用膀胱)が最適であることを発見しました。

結腸切除術

――禁制尿路変更術で使用するための結腸部分切除は、通常は吸収不全性後遺症を結果として生じていません。しかしながら、結腸の右側面は、特に回腸切除術を受けた患者にとっては重要です。結腸は、水(最高6L)及びナトリウム(800mEq)を吸収するための大きな貯蔵容量があります。もし、回腸及び右側の結腸の両方が切除されるならば、下痢は大変深刻になります(5)。したがって、代用膀胱専用カテーテル造設のために隣接した結腸及び回腸末梢部の切除を避けることが、より安全であると思われます。もし、両方が切除されるならば、臨床医は頻繁に便器に行くことがない処置である回盲弁膜再建を検討すべきです(5)。

 高塩素血症アシドーシス(酸毒症)は、一般的に結腸のレザボア(代用膀胱)がある患者に発生します。歴史的に高塩素血症アシドーシス(酸毒症)の最も高い発生状況は、尿管S状腸吻合術で見られました。綿密な検査では、ほとんどすべての患者は、最低でもアシドーシス(酸性症)の適度な数値があります(8)。

 下の記事のための参考
 禁制尿路変更術の潜在的な代謝の合併症:現代の泌尿器学?ロバートD.ミルズ医学博士及びウルスE.シュトゥーダー医学博士による2001年5月の論文
 ミルズ博士は、イギリスのケンブリッジのアデンブルック病院泌尿器科勤務医師の専門家です。
 シュトゥーダー博士は、スイスのベルン大学泌尿器科学部長の教授です。

さらなる読み物

 http://www.emedicine.com/med/topic3061.htm プロフェッショナルなサイト、傾向電流、最先端情報;根治的膀胱切除術

 http://www.moffitt.usf.edu/pubs/ccj/v3n6/a4.html モフィットがんコントロールジャーナルからの非常に有益な記事;2001年からの外科手術(用心してください!)の写真を伴う根治的膀胱切除術後の膀胱置換及び尿路変更。

 より新しい記事はまた素晴らしい:膀胱がんの外科管理(2002)http://www.moffitt.usf.edu/pubs/ccj/に行き、2002年7月/8月号尿生殖器の悪性腫瘍をクリックし、pdfフォーマットの記事を開いて見つけたもの。WWWバージョンについては、http://professional.cancerconsultants.com/ccj_bladder.aspx?id=23529を御覧ください。

 http://alumnus.caltech.edu/~pls/kock/ 手術をする資格がある数人の外科医の名前と同様に、写真付きのコックパウチ(訳注:尿路変更術)情報

 http://www.duj.com/Article/girgin.html  コックパウチ、コック自排尿型代用膀胱及びマインツパウチのリスクと利点を含む比較

 ストーマ(排泄口)の情報源をまた御覧ください。

 出典が示されているもの以外は、ウェンディ・シェリダンが執筆又は編集したものです。
 このページは、2007年11月7日水曜日に最終修正が行われました。
 This is a tentative Japanese translation of Bladder Cancer WebCafe. http://blcwebcafe.org/cystectomy.asp

膀胱切除術(その7)
トップ 5治療の選択肢

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原本:2007.06.29 13:45
更新:2008.02.22 22:33

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